医療法人の社宅の取扱いが分かりません

医療法人が所有する社宅については、減価償却費や借入金利、維持管理費等を法人の経費とすることが可能です。役員社宅の家賃は、税務上、床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅に分けて基準額が定められており、その基準額を下回らなければ経済的利益の問題はないです。小規模な住宅とそれ以外の住宅では、通常の賃貸料の額に大きな差が生まれます。医療法人が役員用の社宅を建て、それを理事長が借りて家賃を支払う形をとると、個人で自宅を所有する場合と比較して以下のようなメリットがあります。法人化には、法人自身の節税だけでなく理事長個人の所得税軽減効果がありますが、個人が住居を取得する場合に認められる住宅ローン減税等は受けられません。
・減価償却費、借入金利を法人の経費に算入できる
・相場より安く借りて、理事長の所得税を節税できる
・公租公課、維持管理費や修繕費を法人の経費に算入できる
税務上は、小規模な住宅、それ以外の住宅および豪華社宅は、それぞれ通常の賃貸料の額の取扱いが定められています。固定資産課税標準額は、地域によって時価と大きな開きがある場合もあるため注意しましょう。
①小規模宅地(木造132㎡以下、木造以外99㎡以下)
その年度の家屋の固定資産税の課税標準額× 0.2%+12円×(その家屋の総床面積(㎡)÷3.3㎡)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%=通常の貨料(月額)
②上記①以外の住宅
{その年度の家屋の課税標準額×12%(木造家屋以外の家屋について)+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12=通常の賃料(月額)
定めの範囲で賃貸料を徴収すれば、課税される経済的利益はないものと判断されますが、その塞準額より低い家賃設定をしていると家賃との差額が給与とみなされ、課税の対象となります。社宅の敷地の固定資産税の課税標準額が、住宅用地に対する課税標準の特例措置で軽減されると、通常の賃貸料の額もそれを基に計算されます。課税標準は地域によって毎年修正されることもあるので、その場合には通常の賃貸料の額は年度毎に算定しなければなりません。住居のある場所にもよりますが、小規模住宅の通常の社宅料は月額数万円程度となることが多いので税務上メリットとなります。